民泊の保健所検査で何を見る?設備基準や流れを解説

民泊を始める際、「保健所に何を確認・検査されるのか」「どのような設備を整えればよいのか」と不安に感じるオーナー様も多いでしょう。
民泊は、どの制度を利用して営業するかによって、保健所のかかわり方が異なります。
この記事では、保健所による営業開始前の現地検査の有無や確認される設備、検査までの流れをわかりやすく解説します。
安心して民泊を運営するために、ぜひお役立てください。
目次
民泊を始めるときに保健所の検査はある?

保健所などによる営業開始前の現地検査・調査の有無は、利用する民泊制度や自治体によって異なります。
民泊新法(住宅宿泊事業法)は届出制であり、旅館業法のように全国一律で営業許可前の現地検査を受ける仕組みではありません。
ただし、自治体によっては届出の受理前などに現地調査を行う場合があります。
一方、旅館業法の簡易宿所では、営業許可にあたって施設の現地検査が行われます。
民泊新法は届出制|全国一律の営業開始前の現地検査はない
民泊新法に基づく民泊は、都道府県知事などへの届出によって始める制度です。
そのため、簡易宿所としての民泊のように、営業開始前に保健所職員が施設を訪れて設備を検査し、許可証が交付されるという手続きは原則ありません。
届出では、民泊として使用する建物が住宅宿泊事業法上の「住宅」に該当するか、必要な設備が設けられているか、必要書類がそろっているかなどを、提出書類や図面などで確認します。
民泊新法上の住宅には、次の4つの設備が必要です。
・浴室
・便所
・洗面設備
なお、民泊新法でも行政による監督の対象になります。
適正な運営を確保するために必要と判断された場合は、営業開始後に施設への立入検査が行われることがあります。
旅館業法の簡易宿所は許可制|保健所の現地検査がある
旅館業法の簡易宿所として民泊を営業する場合は、所在地を管轄する自治体から旅館業の営業許可を受ける必要があります。
こちらの場合、民泊新法の届出とは異なり、書類を提出するだけでは営業を始められません。
一般的には、まず保健所などの担当窓口へ相談し、施設の図面をもとに構造や設備が基準を満たしているか確認します。
その後、営業許可申請を行い、施設の完成後などに保健所職員による現地検査を受けます。
検査の結果、基準を満たしていない場合は、そのままでは営業許可を取得できません。
不備があれば、建物の改修や設備の追加が必要になる可能性もあります。
「& やど管理」では、保健所への事前相談や現地検査に向けた準備など、民泊の開業に必要な対応もサポートしています。
施設・設備の確認から関係窓口との調整、開業後の運営までまとめて相談できるため、「何から準備すればよいかわからない」という方も、お気軽にご相談ください。
旅館業法で民泊の保健所検査を受けるまでの流れ

前述のように、旅館業法の簡易宿所として民泊を始める場合、営業開始前に旅館業の営業許可を取得する必要があります。
申請方法や検査の内容などは自治体によって異なりますが、一般的には次のような流れで手続きを進めます。
1. 保健所へ事前相談する
まずは、施設を管轄する保健所などの担当窓口へ事前相談します。
相談する際は、次のような情報を用意しておくとスムーズです。
図面は詳しいものが理想ですが、事前相談の段階では大まかな図面でも相談できる自治体もあります。
事前相談時には、申請から許可までにかかる期間の目安も確認しておきましょう。
厚生労働省の手引き(2018年6月改訂版)では、申請から許可までの標準的な期間を「数週間程度」としていますが、地域や時期によって異なります。
2. 旅館業の営業許可を申請する
施設の計画が固まったら、保健所などの窓口へ旅館業の営業許可を申請します。
営業許可申請書とあわせて、自治体が定める添付書類を提出します。
主な書類としては、次のようなものがあります。
必要書類の種類や内容は自治体によって異なるため、事前相談の際に確認しておきましょう。
申請時には手数料も必要です。
金額は自治体によって異なり、例えば、埼玉県では旅館業許可の申請手数料を24,000円としています。
また、施設は旅館業法だけでなく、都市計画法や建築基準法、消防法などの関係法令にも適合する必要があります。
保健所への相談と並行して、関係部署との調整を進めましょう。
3. 保健所の現地検査を受ける
営業許可を申請すると、保健所職員などによる施設の現地検査が行われます。
現地検査では、申請した図面と実際の施設を照らし合わせながら、客室や設備などが申請内容どおりに整備され、構造設備基準を満たしているか確認されます。
具体的に確認される設備については、次章で詳しく紹介します。
検査日時や所要時間は自治体によって異なります。
例えば秋田市で検査が可能なのは、原則として平日の9時から16時30分まで(12時から13時を除く)で、所要時間の目安を約60分としています。
施設の規模や確認事項によって所要時間が変わる可能性もあるため、当日は余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
4. 営業許可を取得して民泊事業を開始する
現地検査の結果、施設が基準に適合していることが確認されると、営業許可を受け、許可書が交付されます。
検査で不備を指摘された場合は、必要な改善を行い、基準を満たしていることを再度確認してもらう必要があります。
旅館業法による民泊は、営業許可を取得する前に宿泊客を受け入れて営業することはできません。
施設のオープン日や宿泊客の受け入れ開始日は、営業許可の取得後に設定しましょう。
民泊で保健所が事前に確認するポイント

旅館業法の簡易宿所として民泊を始める場合は、営業許可の申請前に、物件を管轄する保健所へ事前相談するのが一般的です。
事前相談では、物件の用途や営業形態、客室面積、設備などが基準を満たせるかを確認します。
工事後に追加対応が必要になることを避けるため、物件購入や大規模な改修の前に相談しておくと安心です。
住宅・物件の用途・営業形態
まず確認されるのが、どのような物件を、どの制度・営業形態で使用するのかです。
民泊を営業するための制度には、「旅館業法に基づく許可」のほか、「住宅宿泊事業法に基づく届出」や「国家戦略特区における認定」があります。
利用する制度によって、営業日数や設備、管理などの要件が異なります。
事前相談では、例えば次のような情報を整理しておきます。
分譲マンションであれば管理規約、賃貸物件であれば賃貸借契約の内容についても確認しておきましょう。
客室の広さと宿泊定員
簡易宿所では、予定している宿泊定員に応じて必要な客室面積が定められています。
旅館業法施行令では、客室の延床面積について次のように定めています。
一例では、宿泊定員を6人とする場合は、19.8㎡(3.3㎡×6人)以上の客室の延床面積が必要です。
自治体が条例などで独自の基準を設けている場合もあるため、図面と宿泊定員を保健所に提示して確認しておきましょう。
玄関・フロント・宿泊者本人の確認方法
チェックインや宿泊者の本人確認をどのように行うのかも、事前に確認しておきたいポイントです。
簡易宿所については、旅館業法で玄関帳場やフロントの設置が全国一律に義務付けられているわけではありません。
一方、厚生労働省は、玄関帳場などの設置またはICTを活用した本人確認などのための設備を備えることが望ましいとしています。
無人運営や遠隔管理を予定している場合は、次のような内容を具体的に整理しておきましょう。
自治体によって独自の基準が設けられている場合もあるため、事前相談の段階で確認しておくことが大切です。
民泊の保健所検査で確認される設備

旅館業法の簡易宿所による民泊の現地検査では、申請図面との整合性に加え、各種設備が基準を満たしているかも保健所に確認されます。
自治体独自の基準が設けられている場合もあります。
トイレ
簡易宿所には「適当な数の便所」を設けることが求められています。
ただし、旅館業法施行令では全国一律の具体的なトイレの数までは定めていません。
そのため、宿泊定員や施設の構造、自治体の条例などによって異なる場合があります。
また、トイレは設置されていればよいわけではなく、営業開始後も清潔で衛生的な状態を維持する必要があります。
厚生労働省の衛生等管理要領では、トイレについて臭気が出ないよう努め、便器の汚れをしっかり除去するなど1日1回以上清掃し、必要に応じて消毒することとしています。
洗面設備
簡易宿所には、宿泊者の需要を満たせる適当な規模の洗面設備が必要です。
こちらも、旅館業法施行令では具体的な規模までは定めていません。
保健所による検査では、洗面設備が申請どおりに設置されているかのほか、宿泊定員に対して必要な設備が確保されているかなどを確認します。
既存住宅を民泊へ転用する場合は、もともと設置されている洗面台だけで基準を満たせるとは限りません。
宿泊定員とあわせて事前に確認しておきましょう。
入浴設備
簡易宿所では、宿泊者の需要を満たせる規模の入浴設備が必要です。
ただし、施設の近くに公衆浴場があるなど、宿泊者の入浴に支障がないと認められる場合は、入浴設備を設けなくてもよいとされています。
浴槽だけでなく、シャワーなどを含めてどのような設備が必要になるかは、宿泊定員や自治体の基準によっても異なります。
計画段階で保健所に確認しておくことが重要です。
換気・採光・照明・防湿・排水設備
簡易宿所には、適切な換気・採光・照明・防湿・排水の設備も必要です。
保健所による検査では、設置の有無だけでなく、設備が実際に使用できる状態かどうかも重要になります。
例えば、換気扇を設置していても十分に換気できない、排水設備に不具合があるといった場合には、改善が必要になる可能性があります。
検査前には、各種設備に不備がないか、しっかり確認しましょう。
寝室・寝具
宿泊者が使用する客室や寝具についても、衛生的に管理できる状態を整えておく必要があります。
厚生労働省の衛生等管理要領では、シーツや布団カバー・枕カバーなど直接人に接触するものを宿泊者ごとに洗濯したものへ交換することなどが示されています。
民泊の保健所検査で考えられる指摘事項

民泊に対する保健所の現地検査では、必要な設備があるかだけでなく、申請した内容と完成した施設が一致しているか、設備が適切に使用できる状態になっているかなども重要になります。
ここでは、現地検査で不備につながりやすい代表的なケースを見ていきましょう。
申請図面と実際の設備が異なる
まず注意したいのが、営業許可を申請した際の図面と実際の施設が異なっているケースです。
例えば、申請後の工事で民泊施設の間取りを変更したり、トイレや洗面設備の位置を変えたりすると、提出した図面と実際の施設に違いが生じます。
施工途中で変更が必要になった場合は、自己判断で工事を進めず、保健所へ相談しましょう。
宿泊定員と客室面積が合っていない
保健所に申請した宿泊定員と、完成した客室の面積が合っていないケースにも注意が必要です。
例えば、工事の途中で客室として使用する範囲を狭くすると、当初予定していた宿泊定員では面積基準を満たせなくなる可能性があります。
客室の間取りや使用範囲を変更した場合は、宿泊定員についても再確認しましょう。
申請した設備が設置されていない
申請図面では設備を設ける計画になっていても、現地検査の時点で設置されていなかったり、別の設備へ変更されていたりすると、改善が必要になる場合があります。
特にリフォームでは、工事中に設備の位置や仕様の変更を迫られることもあります。
変更する場合は、旅館業の基準への影響がないかについて保健所に確認してから施工しましょう。
設備が十分に機能していない
民泊に必要な設備が設置されていても、適切に機能していなければ問題になる可能性があります。
例えば、次のようなケースです。
保健所の検査前には設備を実際に作動させ、水回りや換気設備などに不具合がないか確認しておきましょう。
自治体独自の条例に合っていない
旅館業法や旅館業法施行令の基準を満たしていても、自治体の基準を満たしていなければ営業許可を取得できない場合があります。
旅館業法では、簡易宿所について、国の基準に加えて都道府県や保健所設置市、特別区が条例で構造設備基準を定めることを認めています。
別の自治体で民泊を運営した経験があっても、同じ基準がそのまま適用されるとは限りません。
施設所在地を管轄する自治体の条例や基準を確認したうえで、申請や工事を進めることが大切です。
まとめ

旅館業法の簡易宿所として民泊を営業する場合は、保健所の検査や営業許可の取得が必要です。
そのため、開業までには一定の手間と時間がかかります。
開業予定日から逆算し、余裕を持って準備を進めることが大切です。
スムーズに運営を始めるには、許可申請と並行して、管理業者のリサーチや手配も進めておくと安心です。
「& やど管理」では、営業許可の取得前からでもご相談いただけます。
特に、一棟物件や別荘を活用した民泊の管理を得意としており、物件の特性に合わせた運営・管理をサポートしています。
開業後の管理まで見据えて準備したい方は、お気軽にお問い合わせください。
