民泊保険6選を徹底比較|補償内容・種類・選び方を管理のプロが解説

民泊では、ゲストの不注意による火災や漏水、ゲストの怪我など、一般の住宅では想定されていないトラブルが発生することがあります。
こうしたリスクに備えるには、一般の火災保険や損害保険だけで十分とはいえません。
民泊保険が必要とされる理由を見ていきましょう。
目次
民泊保険に加入すべき理由

一般の保険では、民泊の事故は補償されない
民泊保険とは、民泊運営中の事故やトラブルによる損害を補償する、民泊事業者向けの保険です。
一般的な個人向けの保険では、自宅を対象としているため、民泊営業中の事故は補償対象外となるケースがあります。
例えば、ゲストの不注意による火災や漏水事故では、保険金が支払われない可能性があります。
建物オーナーやゲストへの賠償責任が発生することもある
民泊運営では、ゲストだけでなく、物件オーナーや近隣住民など第三者への高額な損害賠償が発生する場合もあります。
十分な補償がなければ、多額の賠償金を自己負担することになり、事業の継続が困難になったり、経済的に大きな負担を抱えたりする恐れがあります。
例えば、ゲストの不注意で火災が発生し、建物が焼失したケースです。
賃貸物件では、物件オーナーへの賠償責任が生じる可能性があります。
また、火災が隣家へ延焼した場合には、状況によっては近隣への損害賠償が問題となることもあります。
こうしたリスクに備えるためにも、民泊保険への加入は重要と考えられます。
民泊で起こりやすいリスクと保険の必要性

民泊管理の現場でよく見られる事例をもとに、典型的なトラブルを解説します。
火災|ゲストの過失で火事が起きた
民泊では、ゲストの過失による火災に注意が必要です。
ストーブやコンロ、たばこの不始末などが原因で出火し、建物全体や近隣へ延焼すれば、損害額が数千万円以上に及ぶこともあります。
例えば、福岡県糸島市では、ストーブから火が出たとの通報があり、宿泊施設として利用されていた建物を含む2棟が全焼し、近隣住宅も延焼しました。
こうした大規模な火災に備えるには、火災による損害や賠償責任を補償する民泊保険が欠かせません。
漏水|トイレの詰まりで階下が水浸しになった
民泊では、ゲストの不注意による漏水リスクもあります。
階下が水浸しになると、建物の修繕費に加えて、住人の家財にも被害が及び、数百万円規模の損害賠償が発生することもあります。
東京都台東区では、ゲストがトイレの詰まりを長時間放置したことで漏水が発生し、階下の部屋が水浸しになる事故が起きています。
漏水事故は建物オーナーや階下の住人への賠償責任につながるため、民泊保険で備えておくと安心です。
施設や設備の破損・汚損|備品が壊され、ウッドデッキが汚された
民泊では、マナーの悪いゲストによる施設や設備の破損・汚損も少なくありません。
修繕費やクリーニング費用が高額になることもあるため、民泊保険で備えておきたいリスクです。
実際に、沖縄県の民泊では、施設の備品である屏風に大きな穴が開けられたほか、ウッドデッキが嘔吐物で汚される被害が発生しました。被害額は13万円を超えており、設備や備品の補償も大切であることが分かります。
ゲストの怪我|建物の不備が原因でゲストが大怪我を負った
民泊では、建物や設備の不備が原因で怪我を負う事故も想定されます。
事故の内容によっては、施設管理責任を問われ、高額な損害賠償を請求される可能性があります。
このような事故に備えるには、ゲストへの賠償責任を補償する民泊保険への加入が欠かせません。
民泊保険で補償される主な内容

民泊保険の補償内容は商品によって異なり、補償が手厚いほど保険料は高くなる傾向があります。
民泊保険を選ぶ際は、「どのリスクに備えたいのか」を明確にすることが大切です。
不要な補償まで付けると保険料が高くなるため、自分の運営形態に合った民泊保険を選びましょう。
一般的な民泊保険で補償される主な内容は、次のとおりです。
旅館賠償責任
民泊の運営中に、ホスト側の責任で、ゲストや第三者に人的・物的損害を与えた場合の賠償責任が補償されます。
補償例
・設備の不具合でゲストの持ち物を壊した
個人賠償責任/旅館宿泊者賠償
ゲストがほかの宿泊者や施設、備え付けの設備などに損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されます。
補償例
・ほかの宿泊者の荷物を損傷した
借用不動産損壊補償(借家人賠償責任)
賃貸物件で民泊を運営する場合に欠かせない補償です。
火災や漏水などによって借りている建物に損害を与え、物件オーナーへ賠償責任を負った場合に補償されます。
補償例
・漏水事故により建物へ損害を与えた
その他の補償・特約
保険会社によっては、民泊特有のリスクに備える特約を用意している場合があります。
補償例
・家財や設備の補償
・営業休止時の損失補償
・弁護士費用の補償
民泊保険・補償サービスは3種類ある

一口に民泊保険といっても、提供元によって特徴や補償範囲は異なります。補償内容や保険料はもちろん、加入方法にも違いがあります。
そのため、違いを理解せずに選ぶと、「必要な補償が付いていなかった」「不要な補償まで付けて保険料が高くなった」と後悔する可能性があります。
民泊で利用できる保険・補償サービスは、大きく次の3種類です。
民泊プラットフォーム系
AirbnbやBooking.comなどの民泊プラットフォームが提供する補償制度です。
プラットフォームを利用していれば、自動的に補償を受けられるものもあります。
例えば、Airbnbでは掲載ホスト向けに「日本ホスト保険」などの補償制度が用意されており、一定の条件を満たせば利用できます。
業界団体系
日本民泊協会や全国民泊同業組合連合会などの業界団体が、会員向けに提供している保険制度です。
団体へ加入することで保険に加入できるほか、運営サポートや各種サービスを利用できる場合もあります。
また、団体契約のメリットを生かし、比較的リーズナブルな保険料で加入できる商品も少なくありません。
保険会社系
保険代理店が窓口となり、大手損害保険会社が引受会社となって提供する民泊専用保険です。
旅館賠償責任や借用不動産損壊補償などを組み合わせられる商品も多く、運営形態に合わせて柔軟に補償内容を設計できます。
一方で、業界団体系と比べると、保険料が割高な傾向があります。
Airbnbなどプラットフォームの保険に頼るリスク

AirbnbやBooking.comなどの民泊プラットフォームでは、ホスト向けの補償制度を用意しています。
しかし、「補償があるから民泊保険は不要」と考えるのは危険です。
民泊プラットフォームの保険は、加入手続きや保険料の負担がない点はメリットですが、補償の対象が限定されます。
すべてのリスクをカバーできるわけではないため、業界団体や保険会社が提供する民泊専用保険と併用するのが無難です。
Airbnbの補償制度でカバーできること
民泊プラットフォームの保険の一例を見てみましょう。
Airbnbでは、「日本ホスト保険」を提供しています。
ゲストの滞在によって建物や家財が損害を受けた場合は最大3億円、ホストがゲストや第三者への賠償責任を負った場合は最大1億円まで補償される可能性があります。
補償対象となるのは、以下のようなケースです。
・ゲストや第三者への怪我
・物損に対する賠償責任
・事故対応に必要な一定の費用
・染みや臭いの除去費用 など
民泊保険と併用した方が良い理由
Airbnbの日本ホスト保険は、万が一の事故に備えられる便利な制度です。
ただし、Airbnbが独自に提供する補償制度のため、一定の条件を満たさなければ補償を受けられず、すべての事故や損害が対象になるわけではありません。
一方、業界団体や保険会社が提供する民泊保険では、借用不動産損壊補償(借家人賠償責任)や家財・設備の補償など、運営形態に応じて必要な補償を選べます。
Airbnbの補償だけに頼るのではなく、幅広いリスクに備えるためにも、民泊保険との併用がおすすめです。
民泊保険6選を比較|保険料や補償内容の違い

民泊保険は、商品によって補償内容や保険料、加入条件が大きく異なります。
ここでは、代表的な6つの民泊保険を比較しながら、それぞれの特徴をご紹介します。
民泊保険6選の一覧表
まずは、民泊保険の保険料や補償内容を一覧で比較してみましょう。
加入を検討する際は、保険料だけでなく、賃貸物件向けの補償や宿泊者への補償など、自社の運営形態に合った内容かどうかを確認することが大切です。
| サービス名 | 種類 | 保険料(目安) | 補償内容例 |
| (一社)日本民泊協会(JAPA) | 業界団体系 | 年間32,000円 (1施設・1玄関あたり) | ・旅館賠償責任:対人対物各1億円 ・個人賠償責任:対人対物各1億円 ・借用不動産損壊補償〈特約〉:1億円 |
| 全国民泊同業組合連合会(jasmin) | 業界団体系 | 100㎡未満: 所有物件31,500円賃貸物件4万1,500円 ※いずれも年間 | ・旅館賠償責任:対人対物各1億円 ・個人賠償責任:対人対物各1億円 ・借用不動産損壊補償〈特約〉:1億円 |
| (一社)民泊民宿協会 | 業界団体系 | 100㎡以下: 年間32,900円 | ・旅館賠償責任:1億円 ・旅館宿泊者賠償:1億円 ・不動産損壊補償:3千万円 ・不動産修理補償:3千万円 |
| BrightReach 民泊専用保険 | 損保会社・保険代理店系 | 100㎡まで: 年間7万円 | ・ホスト所有の設備や什器:100万円 ・借家人賠償責任および修理費用補償〈特約〉:3千万円 ・事業者用類焼損害補償〈特約〉:1億円 |
| 民パック | 損保会社・保険代理店系 | 要問い合わせ | ・旅館賠償責任保険 ・旅館宿泊者賠償責任保険 |
| あいおいニッセイ同和損保 民泊保険 | 損保会社・保険代理店系 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
民泊保険6選の詳細
一覧表だけでは分かりにくい各民泊保険の特徴や補償内容を紹介します。
(一社)日本民泊協会(JAPA)
日本民泊協会の会員向け保険は、客室面積にかかわらず1施設(1玄関)あたり年間32,000円で加入できます。
保険料が面積に左右されないため、広い別荘民泊や部屋数の多い一棟貸し民泊ではコストメリットを感じやすいでしょう。
さらに、特約を付帯すれば、賃貸物件を活用した民泊運営における火災・漏水・爆発事故などのリスクにも備えられます。
| 民泊保険の種類 | 業界団体系 |
| 保険料(目安) | 年間32,000円 |
| 補償内容例 | ・旅館賠償責任:対人対物各1億円 ・個人賠償責任:対人対物各1億円 ・借用不動産損壊補償〈特約〉:1億円 |
全国民泊同業組合連合会(jasmin)
jasminは、日本で唯一の民泊事業者向けの政府公認業界団体です。
会員になると民泊保険が利用でき、ホストからゲストへの賠償責任(旅館賠償責任)、ゲストからホストへの賠償責任(個人賠償責任)、物件オーナーへの賠償責任(不動産損壊補償特約)まで幅広く補償されます。
とくに、賃貸物件で民泊を運営している事業者と相性の良い保険といえるでしょう。
| 民泊保険の種類 | 業界団体系 |
| 保険料(目安) | 100㎡未満の会員所有物件:年間31,500円 賃貸物件:年間41,500円 |
| 補償内容例 | ・旅館賠償責任:対人対物各1億円 ・個人賠償責任:対人対物各1億円 ・借用不動産損壊補償〈特約〉:1億円 |
(一社)民泊民宿協会
民泊物件補償サービスに加え、緊急トラブル対応サービス(別途オプション料金)が利用できます。
設備故障や水漏れなどの緊急時にも対応できるため、オーナーが現地に常駐しない家主不在型の民泊でも安心して運営しやすくなります。
| 民泊保険の種類 | 業界団体系 |
| 保険料(目安) | 100㎡以下の場合:年間32,900円 |
| 補償内容例 | ・旅館賠償責任:対人対物共通/1億円 ・不動産損壊補償:1事故/3千万円 ・不動産修理補償:1事故/3千万円 ・旅館宿泊者賠償:対人対物共通/1億円 |
BrightReach 民泊専用保険
賃貸物件で民泊を運営する事業者向けの補償が充実しています。
賃貸物件のオーナーへの賠償責任や建物の修理費用(借家人賠償責任・修理費用補償特約)、火災などによる近隣への損害(事業者用類焼損害補償特約)に対応。
所有物件で民泊を運営する場合も、個別見積もりで補償を用意しています。
| 民泊保険の種類 | 損保会社・保険代理店系 |
| 保険料(目安) | 100㎡までの場合:年間70,000円 |
| 補償内容例 | ・ホストが所有する設備や什器:100万円 ・借家人賠償責任および修理費用補償特約:3千万円 ・事業者用類焼損害補償特約:1億円 |
民パック
民パックは、東京海上日動の民泊保険と、24時間365日対応の運営サポートを組み合わせたサービスです。
保険のみの加入にも対応しているため、運営サポートが不要な事業者でも利用できます。
| 民泊保険の種類 | 損保会社・保険代理店系 |
| 保険料(目安) | ※保険会社や代理店に直接お問い合わせください。 |
| 補償内容例 | ・旅館賠償責任保険 ・旅館宿泊者賠償責任保険 ※補償内容や保険金額については、保険会社や代理店に直接お問い合わせください。 |
あいおいニッセイ同和損保 民泊保険
大手損保が提供する民泊専用保険です。
事業形態に応じて3つのプランから選べます。
民泊新法に基づいて営業する「住宅宿泊事業者」向けには、所有物件用と賃貸物件用の2プランを用意。
さらに、旅館業法に基づいて営業する「簡易宿所事業者」向けプランも選択できます。
| 民泊保険の種類 | 損保会社・保険代理店系 |
| 保険料(目安) | ※保険会社や代理店に直接お問い合わせください。 |
| 補償内容例 | ※詳細につきましては、保険会社や代理店に直接お問い合わせください。 |
実際に運営するヴィラで加入している2つの保険

民泊保険を検討する際は、商品の名称だけでなく、実際の施設運営でどのような事故に備える必要があるかを考えることが大切です。
「& やど管理」が実際に運営している「COCO VILLA」では、30拠点以上ある全ての施設に「施設賠償責任保険」と「火災保険」に加入しています。
それぞれ補償する対象が異なるため、どちらか一方だけで民泊運営に関するすべてのリスクをカバーできるわけではありません。
| 保険の種類 | 主な補償対象 | 想定される事故例 |
|---|---|---|
| 施設賠償責任保険 | 施設の管理や設備の不備によって生じた対人・対物事故 | ゲストの転倒、設備の落下、施設からの漏水など |
| 火災保険 | 建物や家具、設備などに生じた損害 | 火災、落雷、風災、水災、破損など |
旅館賠償責任保険と施設賠償責任保険の違い
施設賠償責任保険は、床の破損や設備の不具合など、施設の管理不足によってゲストや第三者に損害を与えた場合に備える保険です。
一方、旅館賠償責任保険は、施設の管理に関する事故だけでなく、宿泊中の事故やゲストから預かった荷物の損害など、宿泊施設の営業に伴うリスクを幅広く補償します。
簡単にいうと、施設賠償責任保険は「建物や設備の事故に備える保険」、旅館賠償責任保険は「宿泊施設の運営全体に備える保険」です。
※補償範囲は、保険商品や契約内容によって異なります。
実際にCOCO VILLAで発生した被害例

こちらは、1組のご宿泊者様による不適切な利用によって発生した被害です。
丸太の椅子が施設内のファイヤーピットに投入されて焼損し、グリルや台にも激しい汚れや損傷が生じました。
いずれも継続して使用できる状態ではなく、複数の備品を交換することになりました。
民泊では、不特定多数のゲストが施設を利用するため、通常の使用では想定しにくい破損や汚損が発生することがあります。
特に、火を扱う設備がある施設では、備品の誤使用が大きな事故につながるおそれもあるため、利用ルールの周知や注意表示だけでなく、万が一に備えた保険や補償体制の整備が重要です。
ただし、ゲストの故意による破損や、利用ルールに反した行為によって生じた損害は、加入している火災保険や施設賠償責任保険では補償されない場合があります。
そのため、保険を選ぶ際は、単に「破損も補償される」と判断するのではなく、ゲストによる破損・汚損や故意・重大な過失が補償対象になるかを確認しなければなりません。
まとめ

民泊保険は、「万が一のための備え」と考えられがちです。
しかし、本当の価値は事故やトラブルが起きても被害を最小限に抑え、安定した運営を続けられることにあります。
安定経営を実現するには、運営する民泊の条件に合った保険を選択することが大事です。
本記事の比較表を参考にして、ベストな民泊保険を選びましょう。
「& やど管理」では、ゲスト対応や予約管理、清掃手配、集客支援まで、民泊運営をトータルでサポートしています。
物件の種類や運営形態に応じた民泊保険のご提案も可能です。
安心して民泊を運営したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
