民泊の違法事例集|書類送検・廃止命令・業務停止に至ったケースと対策

近年、民泊の違法事例が相次いでおり、処分を受ける事業者もみられます。
民泊は許可や届出を済ませれば安心というわけではなく、営業開始後もさまざまなルールを守る必要があります。
この記事では、違法な民泊の事例を紹介するとともに、違法となる主なケースや発覚する理由、オーナーが確認しておきたい対策などを解説します。
民泊の適正な運営にお役立てください。
目次
違法な民泊運営で書類送検・廃止命令・業務停止に至った事例

民泊事業者が処分を受ける違法行為は、大きく2つに分けられます。
1つ目は、住宅宿泊事業法(民泊新法)や旅館業法などの法律に違反するケースです。
2つ目は、自治体が定める条例の規制に違反するケースです。
ここでは、法律違反と条例違反の両方について、実際に民泊事業者が処分を受けた事例を紹介します。
営業できない曜日に宿泊させ、虚偽の報告をした事例
同法に基づく摘発は全国初となりました。
荒川区では条例により、区内全域で、月曜日の正午から土曜日の正午まで(祝日の正午から翌日正午までを除く)、住宅宿泊事業の実施を制限しています。
しかし、この事業者は2024年6~7月、平日を含む49日間にわたって宿泊客を受け入れていたにもかかわらず、営業日数を「休日のみの8日間」と報告していました。
さらに、荒川区から業務改善命令を受けた後も、命令に従いませんでした。
荒川区から相談を受けた警視庁が2025年11月、民泊施設と運営会社を同法違反の疑いで家宅捜索し、その後、書類送検に至りました。
宿泊日数などの定期報告を怠り廃止命令を受けた事例
新宿区では2025年12月にも民泊を運営する4事業者に廃止命令を出しており、今回はそれに続く廃止命令となりました。
民泊事業者には、必要事項を2カ月ごとに都道府県知事などに報告する義務があります。
この事業者は報告義務を怠り、2025年10月に業務停止命令を受けたにもかかわらず、その後も報告義務違反を繰り返していました。
従業員の駐在義務を守らず業務停止となった事例
京都市では、一定の小規模な民泊施設について、施設までおおむね徒歩10分以内(800メートル以内)の場所に従業員などを駐在させることを義務付けています。
しかし、この民泊施設では、必要な場所に従業員を駐在させていませんでした。
京都市は事業者を指導した後、従業員を駐在させるよう措置命令を出しましたが、その後も命令違反が確認されたため、業務停止命令を出しました。
本人確認や鍵の受け渡しのルールに違反した事例
京都市の条例では、旅館業法に基づく宿泊施設について、宿泊者と対面して本人確認と人数確認を行い、適切に鍵を受け渡すことが求められています。
しかし、対象となった民泊事業者では、こうした対面での確認や鍵の受け渡しが行われていませんでした。
京都市は事前に指導や措置命令を行っていましたが、違反が改善されなかったことから処分に踏み切りました。
今回、過料処分(5万円)を受けた5事業者のうち4事業者は、駐在義務にも違反していたため、30日間の業務停止処分も受けました。
事例からわかる違法・不適切な民泊運営になるケース

これまで紹介した民泊の違法事例を見ると、不適切な運営となるケースには、共通点があります。
許可や届出を済ませていても、営業日数や本人確認、自治体独自のルールなどに違反すれば、処分につながる可能性があります。
ご自身が運営する民泊では下記に当てはまるものがないか、改めてチェックしてみましょう。
必要な許可や届出をせずに営業する
無許可営業は、代表的な違法民泊の事例の1つです。
日本国内で民泊を営業するには、次のいずれかの手続きが必要です。
・住宅宿泊事業法に基づく届出
・特区民泊の認定
こうした手続きを行わずに宿泊サービスを提供すれば、無許可営業などとして罰則の対象になる可能性があります。
「住宅を1棟だけ貸す」「知人から紹介された人だけ泊める」といった場合でも、宿泊料を得て継続的に宿泊させるには、必要な手続きを行わなければなりません。
年間180日の上限や自治体の営業制限に違反する
住宅宿泊事業法に基づく民泊の場合、原則として立地の制限がない代わりに、年間の営業日数は180日以内に制限されます。
さらに注意したいのが、自治体独自の条例です。
自治体によっては、民泊を営業できる曜日や期間、地域などを制限している場合があります。
つまり、「年間180日を超えていないから問題ない」とは限りません。
実際の違法事例でも、自治体の営業制限に違反し、処分を受けたケースが見られます。
宿泊者名簿や本人確認を適切に行わない
民泊事業者は、宿泊者名簿に宿泊者全員の氏名、住所、職業、宿泊日を記載しなければなりません。
また、日本国内に住所を持たない外国人については、国籍と旅券番号も必要です。
さらに、宿泊開始までに宿泊者の本人確認を行う必要もあります。
本人確認は必ずしも対面に限られず、一定の条件を満たせばICT(情報通信技術)を活用した方法も可能です。
本人確認を十分に行わない運営は、違法行為につながるだけでなく、宿泊者や近隣住民とのトラブルを招くおそれもあります。
宿泊実績を報告しない、虚偽の報告をする
住宅宿泊事業者には、宿泊実績を定期的に報告する義務があります。
具体的には、直前2カ月分について、次の内容を都道府県知事などに報告しなければなりません。
・宿泊者数
・延べ宿泊者数
・宿泊者数の国籍別内訳
定期報告は住宅宿泊事業法で定められた義務であり、仕事の忙しさなどを理由に怠ることはできません。
また、実際より宿泊日数を少なく報告するなど、虚偽の内容を報告することも認められません。
届出を済ませている民泊でも、こうした報告義務に違反すれば処分の対象になる可能性があります。
管理者や従業員の駐在など自治体のルールを守らない
自治体によっては、民泊の管理者や従業員の配置について独自のルールを設けています。
例えば、京都市では旅館業法に基づく宿泊施設について、原則として宿泊者の滞在中は管理者や従業員などの駐在が必要です。
このように、自治体によって独自の管理や駐在ルールが設けられている場合があります。
民泊を営業する際は、国の法律だけでなく、物件所在地の条例までしっかり確認しましょう。
マンションの管理規約や賃貸借契約に違反して営業する
法律や条例に加えて、マンションの管理規約や賃貸借契約にも注意が必要です。
具体的には、分譲マンションの場合、管理規約で民泊を禁止していることがよくあります。
管理規約で住宅宿泊事業が禁止されている物件では、民泊事業を行うことはできません。
賃貸住宅も同様です。
賃貸借契約で転貸や用途変更が禁止されているにもかかわらず、賃貸人の承諾を得ずに民泊として使用すれば、契約解除や明け渡しを求められる可能性があります。
違法な民泊運営がばれる理由

「違法な民泊でも、ばれなければ大丈夫」と考えるのは危険です。
民泊の営業実態が発覚するきっかけは、近隣住民からの通報や自治体の調査、届出内容との食い違いなど、いくつもあります。
近隣住民から通報される
違法な民泊がばれる代表的なきっかけが、近隣住民から自治体や警察への通報です。
騒音やゴミ出し、路上駐車、不特定多数の出入りなどが続けば、周辺住民に不審に思われる可能性があります。
自治体の現地確認や立入調査で発覚する
自治体や保健所が、民泊の営業実態を確認するケースもあります。
無許可営業の疑いがある場合や、近隣から苦情が寄せられた場合などには、現地確認や立入調査が行われる可能性があります。
宿泊実績や届出内容との食い違いから発覚する
住宅宿泊事業法では年間180日までの営業日数制限があり、自治体によっては営業できる曜日や期間も制限されています。
また、住宅宿泊事業者には宿泊実績を定期的に報告する義務があります。
実際の営業状況と報告に食い違いがあれば、違反が発覚するきっかけになります。
予約サイトの情報から営業実態が確認される
Airbnbなどの予約サイトへの掲載情報から、営業実態が確認されるケースもあります。
今後は、この方法による違法民泊の発見が増える可能性があります。
観光庁では、仲介業者に掲載物件の適法性確認や掲載物件の報告を求めています。
さらに、旅館業や特区民泊を含めたデータ連携の整備に向けた取り組みも進めています。
これを踏まえると、無許可や無届のまま予約サイトに掲載して営業を続けることは、これまで以上に難しくなると考えられます。
違法な民泊運営を防ぐためにオーナーが確認したいポイント

これまで紹介した事例からも分かるように、違法な民泊運営を防ぐには、開業前の手続きだけでなく、開業後もルールに従って営業を続けることが大切です。
ここでは、民泊オーナーが確認しておきたいポイントを紹介します。
運営したい民泊に合った手続きを行う
民泊は、運営形態によって適用される制度が異なります。
選択肢には、旅館業法に基づく許可、住宅宿泊事業法に基づく届出、特区民泊の認定の3つがあります。
| 制度 | 主な特徴 | 営業日数 |
|---|---|---|
| 旅館業法 | 施設や設備などの基準を満たし、自治体の許可を受けて営業する | 制限なし |
| 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 届出により住宅を活用して営業する | 年間180日以内 |
| 特区民泊 | 国家戦略特区の対象地域で、一定の要件を満たして自治体の認定を受ける | 制限なし |
必要な手続きを行わずに営業すれば、違法な民泊となります。
それぞれの制度の違いを理解し、自治体の窓口や民泊に詳しい専門家などに相談しながら、物件や運営方法に合った制度を選びましょう。
自治体の民泊に関する条例を確認する
法律だけでなく、自治体が定める民泊に関する条例を確認することも大切です。
地域によっては、営業できる曜日や期間、管理者の配置などに独自の制限が設けられています。
こうしたルールを知らずに営業すると、気付かぬうちに違法な民泊となってしまいます。
なお、条例の内容を確認する際は、自治体の公式サイトや担当窓口で最新情報を入手しましょう。
インターネット上の二次情報は、内容が古かったり、実際のルールと異なっていたりする場合があります。
マンションの管理規約などを確認する
区分マンションで民泊を行う場合は、管理規約の確認が欠かせません。
民泊が禁止されていれば、法律や条例上は営業できても、民泊として利用できない場合があります。
規約の内容が分からない場合は、管理組合や管理会社に確認しましょう。
また、区分マンションを借りて民泊を行う場合は、契約前なら貸主や仲介会社などに民泊利用が可能かを確認します。
契約後であれば、まず賃貸借契約の内容を確認し、不明な点があれば貸主や管理会社に確認しましょう。
宿泊者名簿や本人確認、定期報告を適切に行う
住宅宿泊事業法に基づく民泊では、届出後も、宿泊者名簿の作成や本人確認、定期報告などの対応が必要です。
これらを適切に行わなければ、違法な運営と判断される可能性があります。
宿泊者対応や報告業務についてはマニュアルを作成し、「誰が、いつ、何をするのか」を決めておくとミスを防ぎやすくなります。
定期報告については、期限前に通知が届くよう、カレンダーや管理システムを設定しておくのも有効です。
行政から違反の指摘や指導を受けたらどうする?

前半で紹介した民泊の違法事例からも分かるように、行政から指摘や指導を受けた場合は、放置せず早めに対応することがポイントです。
問題を抱えたまま民泊の営業を続けると、より重い処分につながるリスクが高まります。
事実関係を確認する
行政から指摘や指導を受けた際は、民泊の運営において「何が問題とされているのか」をしっかり把握しましょう。
確認したいのは次の内容です。
・対象の法律(旅館業法や住宅宿泊事業法など)または自治体の条例
・改善を求められている事項
行政からの指導を無視して、民泊の運営を続けるのは絶対に避けるべきです。
実際の違法民泊の事例でも、改善命令などに従わず営業を続けた結果、業務停止命令や廃止命令など重い処分につながったケースがあります。
自治体に改善方法を確認する
問題点を把握したら、自治体の担当窓口に必要な改善方法を確認し、速やかに対応しましょう。
違反と指摘された内容によっては、設備や宿泊者対応を根本的に見直す必要がある場合もあります。
状況によっては、営業を一時的に停止し、改善に取り組んだほうがよいケースもあります。
改善後は自治体に報告し、必要に応じて確認を受けてから民泊の営業を再開しましょう。
行政書士や弁護士などの専門家に相談する
とくに、違反内容が複雑な場合や、業務停止命令などの行政処分を受けた場合は、民泊分野に強い行政書士や弁護士などの専門家へ相談しましょう。
適法な民泊運営をしたいなら「& やど管理」

民泊は、許可・届出を済ませれば終わりではありません。
営業開始後も、宿泊者名簿の管理や本人確認など、さまざまなルールを守りながら運営する必要があります。
しかし、遠隔地の別荘や一棟物件、複数の民泊物件を運営している場合、オーナー様ご自身ですべての管理業務に対応するのは大変です。
「& やど管理」では、民泊運営に必要な管理業務をトータルサポートし、オーナー様の負担を軽減します。
日々の管理を任せたい方はもちろん、「今の運営方法で問題ないか不安」「管理体制を見直したい」という方からのご相談にも対応しています。
適法な運営と管理負担の軽減を両立したい方は、「& やど管理」までお気軽にご相談ください。
